「ぎゃ、ぎゃあーあああぁ!じじじジェームズ!ジェームズ!ミスターポッターァァ!」

なにー?大声出して


「イニシャルGがっ、イイイニシャルGがでたのううっ」

「……は?」

「イギリスにいるなんてしらなかったよ!?ジェット持ってきてないよー!」

「……え?」

夏休み最後の日。一昨日からうちに泊まっていたに連れられて(というか全力でひっぱられて)寝室へと向かうと、一匹の虫がいた。白い壁に黒い体をくっつけたまま触角だけを動かしている。はっきり言うと見たこと無いし退治の仕方も知らないし毒があるかもわからない。見た目ありそうだけど。

「…で、僕にあれをどうしろと」

「やっつけて!新聞とかで!」

「潰すの?」

「そっそれは嫌」

「えぇ、なにそれ」

とにかくどうにかしてと喚くはうっすらと涙目になっていて、僕としてはこの黒い虫よりに先に手をつけたい気分だ。がふてくされることは目に見えているからそんなことしないけどね!…ちょっと切ない。

「あー、窓あけてそっちに追いたてればいんでしょ?」

「気をつけてね、ヤツは飛ぶよっっ」

ジェームズファイト!と気を送るとは裏腹に作業は全く楽なものだった。箒の先でちょいちょいつっつけばすぐ逃げるんだものこの虫…。やがて僕の華麗(強調)なテクニックのおかげで無事虫は家の外へ飛んで行った。ふーん、ほんとに飛んだ。

に声をかけると、まるで僕が戦争から帰ってきたかのような顔をして抱きつかれた。そんなにあの虫が怖かったのだろうか。女の子はよくわからないな。

「ありがとジェームズ」

「はいはい」